ね、先生。
「・・・おぉぉぉぉーッ。あ、葵かっ。」
「どーしたの?
すっごい険しい表情して。」
「・・あぁ、、いや、別に。」
その“別に”って言い方が、引っかかった私は、周りをクルリと見渡して、誰もいないことを確認してから、先生の腕を引っ張った。
「・・・ちょ、、あ、葵ッ?!」
驚く先生を連れて、図書室の裏へと連れ込む。
「バカッ。
こんなところ誰かに見られたらっ、、!」
「大丈夫~。
先生より、生徒のこない場所知ってる・・・からっ。」
そこは、図書館の裏で、木が数本も植えられている場所で、今日もセミが大きく鳴いていた。
「・・・なんか。
今日、おかしいよ?」
「・・・え?」
「なんか思いつめてるような、、。」
「いや、おかしいのは葵のほうだろ? ここ最近・・・」
「ううん。
今日の先生・・・変。」
「・・・。」
ミーンミンミンミン・・・
一匹のセミが鳴いた後、
「・・・葵。」
「・・・ん?」
「・・・少し距離を置かないかっ?」
私は、先生からそう告げられた―。