ね、先生。
沢田くんが教室を出て行ってから、里美が静かに話し始めた。


「葵には悪いけど、、、先生と葵のこと。　おネエに話したんだ。」

「･･･え？」


里美へと視線を向けると、

里美は少し俯き、そして、話しを続けた。


「おネエは、“自分が原因だ”って言ってた。」

「･･･ぇ？」

「自分が先生とあんな別れ方したからだ、って。」

「･･･そんな。」

「おネエは、もう先生は生徒とは恋愛をしないって思ってたみたい。」

「・・・。」

「だから、葵と付き合ってるって知った時は、嬉しかったって。」

「･･･え？！　お姉さん知ってたのッ？！」


里美はゆっくりと頷いた。


「･･･葵と付き合う前に、おネエは先生と食事に行った事があったみたいで、その時に“遠くて、でも自分にしか守れない人が出来た”って先生から聞いてたんだって。
　それが葵のことだとは、しばらくしてから、気付いたみたいなんだけど。」

「・・・。」

「先生は正義感の強い人だから、おネエと付き合っている時も、かなり悩んでたみたい。」

「･･･うん。」

「葵にはキツイいい方になるかもだけど、やっぱり先生は先生で。　色々悩んでる部分もあると思うし･･･」

「･･･うん。」

「でも、はっきり別れようとか言わなかったんだよね？　･･･待ってみない？･･･もう少し。」

「･･･すんっ。」

「･･･あおぃ･･。」


涙目になってる私を、里美は優しく抱きしめてくれた。
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