ね、先生。
久々に間近で見た先生は、

とても穏やかな表情をしていて・・・、

さっきまで私がシュミレーションしていた時とは180度違う表情だった―。


「ーん? 誰か先生に用かっ?」

「・・・うん。」

「誰だ? 呼んでやるよ。」


先生がそう言って、一歩私に近付いた時

私は、


「渡部先生。 先生に、用があるの!」


そう言って、先生を指差した。




「・・・え?
 オレ? 何だ・・・?」


先生は一瞬驚いた顔をする。


私はカバンからプレゼントの時計を取り出し、


「先生、今日、誕生日だから、、、。」


そっと先生へと差し出した。


「・・・ぇ・・・ぃゃ・・。」


プレゼントを見た先生の表情は、一瞬で固まり・・・


「・・・ごめん、葵。
 ・・・これは、受け取れない。」


そう答えた―。
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