Pure Love
「ただいま~。」


その日は、客が少なく、幸枝が帰ると店を閉めたから、アパートに帰り着いたのは、まだ夜も明けきらない真夜中だった。


そっと靴を脱ぎ、部屋に入る。

莉子は当然眠っていて、室内はシーンと静まりかえっている。


ベッドでは、莉子がスヤスヤと寝息をたてていた。


そんな莉子を起こさないように、そっと浴室に向かい、熱いシャワーを頭から浴びた。


浴室から出ると、莉子が眠い目をこすりながら、ベッドの上に起き上がっていた。


「悪い…。起こしたか。」


「ううん…。翔今日は帰るの早いね。」


「ああ。今日は客が少なかったからな。」

「そっか…。ハーブティーでも飲む?」


そう言いながら莉子は立ち上がった。



「俺が入れるよ。」


「ホント?ありがと~。」


そういいながら、莉子は再びゴロンとベッドに横になった。


…ハーブティー出来る前に寝るな。これは…。



案の定、ハーブティーが出来た時には莉子は眠ってしまっていた。


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