ただ風のように


「本当に美味しいですよ」


「喜んでもらえて良かったわ」


私はその1枚のホットケーキをゆっくり味わって食べた。


「ごちそうさまです」


「あら?1枚しか食べてないけどもういいの?」


先輩のお母さんは心配そうな顔で聞いてきた。


「はい。たくさん作って頂いたのに申し訳ないです。なんだかお腹が空かなくて」


「余るのは別に良いんだけどね。夏々海ちゃん、目も腫れてるし元気がなくて心配だわ。海頼、あんた何かしたんじゃないでしょうね?」


先輩のお母さんは先輩をからかうような目で見た。


「なっ!!何にもしてねぇよ。つーか何かってなんだよ!!」


先輩は強く否定した。


「何かって言ったら何かよ。夏々海ちゃん、海頼は優しかった?」


「海頼先輩はいつでも優しいですよ?」


私はこの前の合同練習のときや昨日と今朝の先輩の態度や接し方で感じたことをそのまま伝えた。


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