ただ風のように


「とりあえず今日、俺達は出かけるから」


「どこ行くの?」


先輩の言葉に渚さんが聞いた。


「そのへん、ふらっと」


「ふらっとラブホ?」


「兄さん、いい加減にした方が身の為だと思いますけど」


渚さんが言ったすぐあとに関節を伸ばし敬語で話しながら岬さんが近づいてきた。


「み、岬くん……」


「兄さん、俺の部屋でゆーっくりお話しましょう。海頼、夏々海さん、楽しんでおいで」


岬さんは笑顔でそう言うと渚さんを連れてリビングのドアから出ていった。


「夏々海、出かける前にシャワー浴びるか?」


渚さんがいなくなったのを確認して海頼先輩が聞いてきた。


「あ、できれば」


「分かった。じゃあ、とりあえず部屋戻ろうか」


私は昨日と同じように頭を下げてリビングを出た。



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