ただ風のように
先輩に説明された通りに歩くとお風呂場があった。
私は袖を捲って包帯とガーゼを外した。包帯を巻く前に血は止まっていたからガーゼに血はついていなかった。
しかし左腕には痛々しい傷跡がたくさん残っていた。
私はあまり気にせずに服を脱ぎ、浴室に入ってシャワーを浴びた。
それから30分後、私は海頼先輩の部屋に戻ってきていた。
「はい、腕出して」
「もう大丈夫ですよ」
そして今は海頼先輩と包帯を巻くか巻かないかでもめていた。
「服に擦れて血が出たらどうすんの?痛いどころじゃないんだから包帯巻くよ」
「大丈夫ですってば。シャワー浴びても平気でしたもん」
「ダメ」
海頼先輩はそう言って私をソファーに押さえつけた。
「海頼。バイク使うなら夏々海ちゃんにもメット被せろよ。これ貸すから」
そこに入ってきたのは渚さんだった。渚さんは私達の様子を見てニヤリと笑いこう言った。
「お邪魔でしたねぇ。海頼、そういうことするなら部屋の鍵閉めとけよ。メット置いていくからな。じゃあ、お邪魔しましたぁ」