ただ風のように
「兄貴がごめんな」
2人が出ていくと海頼先輩は私に頭を下げた。
「いえ、大丈夫です。それにしてもどうして先輩はあんなにムキになってたんですか?」
「え?」
「激しく誤解してるとか渚さんが思ってるようなことは何もないとか」
「分からないなら分からないままの方がいいよ。知って得するようなことはないしね」
先輩はそうかそうかというように頷きながら私に言った。
「そうですか。じゃあ、気にしません」
「うん。じゃあ、包帯巻いて出かけようか」
それから私達はさっきと同じようなことを繰り返して結局、私の力負けで包帯を巻かれた。