ただ風のように
「トラは警戒心強いから慣れたら出てくると思うよ。そろそろ行こう」
「はい。じゃあね、ロクちゃん」
私がそう言うとロクちゃんは言葉が分かるかのように私の腕の中から飛び降りた。
「じゃあ、行こう」
海頼先輩がバイクの鍵と渚さんが置いていったヘルメットを持ち部屋を出て、私もそれに続いた。
「じゃあ、行ってくんね」
先輩はリビングに顔だけを入れてそう言った。
「気を付けてねー」
先輩のお母さんの声が中から聞こえた。私達は玄関で靴を履いて外に出た。
私は外に出て先輩の家の大きさに驚いた。昨日は夜で下を向いてたから分からなかったけど広い家だということは感じていた。
玄関口から家を見上げるとモデルハウスのような外装と大きさだった。
「先輩の家、大きいですね」