ただ風のように
「まぁ、大きい方なんだろうね。広くて年末大掃除とかすごく苦労するよ」
先輩は苦笑いしながら言った。
「でも、大きい家って小さいころ憧れてました。お城とか豪邸とか」
「俺は君の家も充分な大きさだと思うよ?」
「そうですね。私の家も大きくて掃除大変です」
私も苦笑いして言った。
「だよね。掃除大変だよね。あ、バイク出すからここで待っててくれる?」
「分かりました」
先輩はそう言うとガレージに消えていった。
私は玄関のそばに立って空を見上げた。今日の天気は晴れ。青い空に白い雲がいくつか浮いていた。