ただ風のように
「あ、遊汰先輩。お疲れ様です」
声がした方を振り向くと男子の先輩が休憩を終えて戻ってきていた。
「1on1やってるんじゃなかったの?」
不思議そうに遊汰先輩が首を傾げた。
「1度だけやりました。ここの主将と。終わったらコーチにゲームまでは男子のマネージャーをしてるように言われて」
説明すると遊汰先輩はもっと首を傾げた。
「勝負の結果は?」
「えっ、あ、私がオフェンスで勝ちました」
急に海頼先輩に質問されて私はキョドりながら答えた。
「夏々海ちゃんが勝ったの?」
遊汰先輩は驚いた顔をしていた。
「いや、でもあの、偶然ですよ。ちょっと運が良かっただけです」
「志穂(シホ)先輩に勝てるならうちの男子ほとんどに勝てますね」
海頼先輩が呟くように遊汰先輩に言った。