ただ風のように
「これって……」
私はそう言って先輩を見た。
「真珠と天然石だよ」
「どうしてこんなところに?」
「真珠はよく分からない。天然石は多分、あそこから流れてきてるんじゃないかな」
海頼先輩が指差した先は洞窟のように見えた。
「洞窟ですか?」
「うん。今の時間なら水は来ないから行ってみようか?」
「行きたいです!!」
「じゃあ、行こう。俺に着いてきて」
私は先輩の背中を追いながら凹凸のある岩場を歩いた。
「ここから入るよ。足元、気を付けてね」
「分かりました」
私達はゆっくり洞窟の中にはいっていった。