ただ風のように
私達は洞窟を抜けて、細道を戻り今は走るバイクに乗っている。
私は先輩の哀しそうな目を見てからなんとなく話しかけられなかった。
さっきの場所から走ること30分。先輩はバイクを止めた。
「ここが次の場所」
私は辺りを見回したけど何もなかった。登り坂になっているだけで特に何もない道路に私達がいるだけだった。
「何もありませんよ?」
私は先輩に言った。
「そうだよ。この道は何もない。だけどここから下を覗くと何かがある」
先輩はガードレールに手をついてそう言った。私は先輩の隣に行き、下を見た。
「……すごい!!」