ただ風のように
「夏々海さんね。2人とも立ってないでこっちに座んなさい」
お爺さんにそう言われて私達はお爺さん達のいるテーブルに座った。
「爺ちゃんと婆ちゃんなら言わなくても分かると思うけど」
「入ってきたときから分かっとる。もう視とるよ」
お爺さんが海頼先輩に返事をしながらお婆さんを見た。
「さすがだね」
「当たり前じゃ。儂らを誰だと思っとるんじゃ。海頼、お主の時と同じ感覚がするぞ」
「まぁ、同じような理由になるのかな。俺より酷いんじゃない?」
「タイじゃな。細かくは違えど同じ傷を負っておる」
先輩とお爺さんは私を見ながらそんな話をしていた。
「あの、何でしょう?」
私は視線と話の内容が気になって質問した。