ただ風のように


「夏々海さんね。2人とも立ってないでこっちに座んなさい」


お爺さんにそう言われて私達はお爺さん達のいるテーブルに座った。


「爺ちゃんと婆ちゃんなら言わなくても分かると思うけど」


「入ってきたときから分かっとる。もう視とるよ」


お爺さんが海頼先輩に返事をしながらお婆さんを見た。


「さすがだね」


「当たり前じゃ。儂らを誰だと思っとるんじゃ。海頼、お主の時と同じ感覚がするぞ」


「まぁ、同じような理由になるのかな。俺より酷いんじゃない?」


「タイじゃな。細かくは違えど同じ傷を負っておる」


先輩とお爺さんは私を見ながらそんな話をしていた。


「あの、何でしょう?」


私は視線と話の内容が気になって質問した。


< 133 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop