ただ風のように
「良い人達だったでしょ?」
「はい、とっても。でもお爺ちゃんはどうして私の誕生日が分かったんでしょうか?」
砂浜を歩きながら私は海頼先輩に質問した。
「あの人達は世の中の常識じゃ計り知れない力を持ってるんだ。俺もこの石もらった時に、誕生日を当てられて驚いた」
「そうなんですか?凄い人達なんですね」
「それから、爺ちゃんの方はほとんど目が見えてないんだ。かろうじて光は捉えられるけどはっきりした顔とかは分からない」
「でも、お爺ちゃんはちゃんと目を合わせてくれましたよ?」
「それは俺も不思議なんだよね。爺ちゃんは心の眼で視てるとか言うけどさ」
「でもお爺ちゃんならできそうですね」
「不思議な力があるからね」
私達は笑い合いながらバイクまでの道をゆっくり歩いた。時間はもうすぐ4時を過ぎようとしていた。