ただ風のように


「……私もお爺ちゃんとお婆ちゃんの家に行くとき、同じようなこと考えてました」


「え?」


「変わらないことは絶対に無いけどバイクに乗ってると風になった気分でその時だけは変わらない存在になった気がしたんです。あの、言ってること分かりますか?」


自分でも何を言いたいのかよく分からなかった。


「分かるよ。俺もそう思うんだ」


先輩は優しく笑った。


「風ならその場に留まることもないし、誰かに壊されることもないよね」


先輩はそう続けた。


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