ただ風のように
「どうして、ここに?」
「ここから歩いて送るよ」
「少し、歩きますよ?」
「いいよ」
私達は私の家に向かって歩き始めた。海頼先輩はゆっくり歩く私のペースに合わせてくれた。
「……先輩?」
「どうしたの?」
薄暗い道を歩きながら私は先輩に話しかけた。
「私の家族も……先輩の家族みたいに、仲良くなれるんでしょうか?」
「……なれるよ、きっと。君が仲良くなりたいって思ってるなら、大丈夫」
それから家に着くまで私達は言葉を交わさなかった。
「……着いたね」
「着いちゃいましたね」
「大丈夫?」
「きっと大丈夫です」