ただ風のように


海頼先輩とは何回か連絡を取ったり試合で顔を合わせたりしていたけどあの日のことを話すことはなかった。


それにお互いあの日のことは触れなくてもいいことだと思っていた。


「コーチ、お久しぶりです」


西高の体育館に入るとコーチが待っていてくれた。


「夏々海、久しぶり。主将になったって聞いたよ」


「はい。2年の先輩方から主将をやるようにと言われたので」


亜美先輩達が引退したあと、副主将だった沙智(サチ)先輩に「主将は私より夏々海の方が向いてる」と言われて主将になった。


「そうなんだ。今日は男バスの主将と女バスの主将と練習メニューとか決めてもらうから、よろしくね」


「分かりました。よろしくお願いします」


私はコーチに連れられてバスケ部のミーティング室に入った。


そこには知沙都先輩と海頼先輩がいて仲良さそうに話していた。


< 150 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop