ただ風のように


どんどん練習メニューはできていき、1時間しないうちに4日間すべてのメニューが完成した。


「じゃあ、コーチ呼んでくるね」


そう言って知沙都先輩は会議室から出ていった。


「あれから何にもないの?」


海頼先輩はノートにホワイトボードの内容を書きながら聞いてきた。


「あれからっていうのは……?」


「4月のあの日から」


「何にもない訳ではないですけど、でも平気です」


「平気な顔してない」


笑顔で言った私を見て先輩はそう言い、こう続けた。


「我慢すんのも必要な時があるのかもしれないけど、自分がつらくなるような我慢はすんなよ。何があったか話したくないなら話さなくてもいいけど、吐き出すことで楽になるんだったら聞かせて?」


「……えっと、あの「お疲れさまー!!」


私が話そうとしたとき、コーチと知沙都先輩が入ってきた。


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