ただ風のように
「チーム編成は3人で一組。海頼は自分よりも年上の人と組んでそこで稼いでた」
「だから上手なんですね」
「うん。海頼自身も15の不敗神って呼ばれてた。それで海頼も天狗になってたんだろうね。ある日、海頼がサポートで入ったチームが負けたんだ」
「負けたらどうなるんですか?」
「賭けた観衆から散々、叩かれるだけじゃなくて二度とバスケができない体にされた人もいる」
「じゃあ、海頼先輩も?」
「いや、その試合は仕組まれてたんだ。裏で海頼が負けるように動いていた人がいた。その人はストリートバスケを仕切っていたオーナーで海頼がいると商売にならないからって言ってさ」
「それでどうなったんですか?」
「ストリートだからさ、試合中にファウルなんて当たり前なんだよね。終わったころには海頼、ボロ雑巾みたいになっててさ。それでも惜敗だった。だけど観衆は怒った。みんな海頼に賭けてたから。フェンス乗り越えて海頼に掴みかかる奴もいたよ」
詳しく状況を説明する遊汰先輩に私は疑問を抱いた。