ただ風のように
俺は中止させようとする雅サンをなんとか納得させ、試合を続行した。
そのあと、相手チームからの当たりはもっと激しくなり意識がはっきりしない俺はやられるがままだった。
15点あった差はあっという間に逆転され、今は逆に10点差をつけられていた。
それでも俺は相手になんとか食らいついていた。負けたら雅サンがオーナーに何をされるか分からなかったからだ。
試合は89対88で俺達が負けた。俺はこの時、始めて敗北というものを味わった。
「雅サン、すいません。俺のせいで勝てなくて」
俺はすぐさま、雅サンに謝った。しかし、雅サンの口からは信じられない言葉が発せられた。
「まだ、気付いてねぇの?このゲームはお前を負けさせる為に仕組んだゲームなんだよ。1点差まで詰められるのは予想外だったが、さすがにその怪我じゃな」
そう言った雅サンの目は俺を嘲笑っていた。