ただ風のように


「……嘘だ」


「嘘じゃねぇよ。オーナーから頼まれたんだ。お前が勝ちまくって商売にならないから潰してくれってさ」


「けど、俺をここに連れてきたのはオーナーと雅サンじゃないですか!!」


「そうだ。お前はよく働いてくれたよ。おかげでここは裏でも表でも名が知れるくらいでかくなった。だけどもう、お前は用済みだ」


「そんな……うっ……」


急に俺の視界が揺れた。


「今ごろ、頭に受けたダメージが出てきたか。脳震盪だよ。血がでるくらい強く当てられてんだからな」


俺は視界の揺れに耐えきれず、その場にうずくまった。


「1年間、楽しかったよ。海頼」


雅サンはそう言い残して、オーナーと選手控え室に消えていった。


それと同時に観客として俺達のチームに賭けていた人が何人か、フェンスを越えコートに入ってきた。


< 47 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop