ただ風のように
「ふざけんな!!負けやがって!!」
そう言って、俺を殴る客達。俺にはもう抵抗する体力も気力も残ってなくただ殴られ続けていた。
「おい!!お前らやめろ!!悪いのはそいつじゃねぇだろ」
そこに誰かが止めに入った。
開かない目をなんとか開いて周りを見ると、4人ほどの男が十数人の男を殴り倒していた。
「おいお前、大丈夫か?」
俺に声をかけてきたのは俺と同じ歳くらいの人だった。
「あぁ……。へーき」
「兄貴!!こいつ連れていこう。意識が定まってない」
「大丈夫だって。ほっとけ」
そこで俺の記憶は途切れた。