ただ風のように
「ここ、俺ん家の病院。そんで俺はお前の見張り役」
「なんだよ、見張りって」
「その大怪我でバスケとかしないように?」
「しねぇよ。ってかできねぇよ。だから、早く出てけ」
「あともう1つ。事情聴取役。海頼はなんでストリートで稼いでたの?」
こいつ、マジでうぜぇ。
「どうでもいいだろ」
「よくないんだな。未成年なのにあんなところにいて、こんな大怪我してさ」
「俺に深く関わんなよ」
「じゃあ、殴られた理由だけ教えて?」
「賭けバスケは競馬と一緒。勝つと思った方に金を賭ける。負ければ損。俺はあそこでトッププレイヤーだった。観客は俺に大金賭けてて俺が負けたから俺を殴る。当然のことだろ」
俺は遊汰というヤツが煩わしくて一本調子で答えた。