ただ風のように
次の日、私は授業が終わると同時に教室を飛び出して校門に向かった。
そこにはもう亜美先輩がいた。
「亜美先輩!!お待たせしました」
私は息を弾ませながら言った。
「待ってないよー。行こっか」
「はいっ」
うちの学校から西高までは歩いて15分程のところにある。
「夏々海って何人家族?」
亜美先輩が唐突に質問してきた。
「5人です。両親と兄2人です」
「お兄さんいるんだ」
「一番上は27歳でもう1人も20歳です」
「そんなに離れてるんだ」
できれば家族の話題から早く離れて欲しかった。
「はい。両方バスケしてます」
「じゃあ、夏々海が上手なのも当たり前だね」
「上手くないですよ」
私は頭を横に振って否定した。