ただ風のように
「あの、志穂先輩?」
「どうしたの?」
「私、普通に1on1やってもいいんですか?」
「そっか。ちょっと待ってね。コーチ!!ちょっといいですか?」
「どうしたー?」
志穂先輩が声をかけると、コーチが走ってきた。
「これから1on1やるんですけど、夏々海ちゃんも普通にやっていいですか?」
「あぁ、そっか。うーん。じゃあ夏々海は今日、うちの1年とだけやって。夏々海、めちゃくちゃにやっつけていいからね」
そう言ったコーチはニヤリと笑った。
「分かりました。めちゃくちゃにできるかは分かりませんけど、勝てるように頑張ります」
「よし。それでいい」
私はペコッと頭を下げてコートに戻った。