ただ風のように
「夏々海、ダメだよー。あいつらは女に飢えてるから危ないよ?夏々海は可愛いから食べられちゃうかもよ」
「食べられるんですか?」
「意味分かってない?まぁ、いいけど。気を付けてね」
私はコーチの忠告を聞きながら海頼先輩のことを考えていた。
「……」
かっこよかったな。
「夏々海?どうした?」
「!!いえ、何でもないです」
急にコーチの顔が目の前にきて驚いた。
「さては、気になるヤツでもいたなー?」
「いっ!!いませんよっ」
心を見透かされたような質問に変に焦ってしまった。
「やっぱりいたのかー。誰?遊汰?あいつは良いヤツだからね」
「違いますって。あの海頼先輩って日本人ですか?」
最初に見たときに気になった質問をコーチにぶつけた。
「ほぉー。海頼の方か。あいつはよく間違えられるけど紛うことなき日本人だよ」
日本人なんだ。すごく綺麗な顔してたな。
「ロシア人かと思いました」