ただ風のように
「大丈夫だよ。もう少し横になってな」
海頼先輩はそう言いながら布団をかけ直してくれた。
「はい」
「……今日も長袖なんだね」
ほんの少しの沈黙のあとに海頼先輩が口を開いた。
「半袖、あんまり好きじゃないんです」
「そうなんだ。暑くない?」
「中学のころからなので慣れました」
「そっか。なんとなく分かるよ。長袖好きな理由」
「……え?」
私はその言葉に内心焦った。
「でも詮索する気はないから安心していいよ。話したいときに話してくれれば聞くし」
海頼先輩は優しくそう言って笑ってくれた。
「はい」
その時、保健室のドアが開いた。
「目、つぶってて」