ただ風のように
「じゃあ、今度は俺からの質問。君はどうして中学のとき試合出たことなかったの?」
「えっと、それは……」
どうしよう。海頼先輩が本当のことを話してくれたんだから、私も本当のことを話すべき?それとも……。
「とりあえず、帰りながら話そう?送るから」
「……はい」
黙ったままの私を見兼ねて海頼先輩はそう言った。
荷物はコーチが持ってきてくれていて、私は制服に着替えた。
海頼先輩はその間、廊下で待ってくれていた。
「お待たせしました」
私が廊下に出ると海頼先輩はいつの間にか制服に着替えていた。
「いつの間に着替えたんですか?」
「君を待ってる間に、上から制服来ただけだよ。じゃあ、帰ろっか」