ただ風のように


私達は校門を出て、ゆっくり歩道を歩いていた。


「さっきの質問の答え、聞いてもいい?」


「はい」


「最初に言っておくけど俺は遊汰先輩に言ったような嘘じゃ騙されないからね」


「どうして嘘って分かったんですか?」


「なんとなくさっきの黙り方を見てたら、人数足りないとかそういう理由じゃないと思ったんだ」


「……私、小さい頃からバスケしてるって言いましたよね。だから人より少し動けたりシュート率良かったり。でも中1のころは今まで誰とも比べたことなかったし、兄がすごく上手だったので私、自分は実力ないって思ってたんです」


「うん」


「だけどバスケ部に入って、始めて同年代の人と勝負したとき、すんなり勝てて嬉しかったんです。それから私は毎日、調子に乗って勝ち続けました。顧問はバスケをまったく知らなくて練習メニューを先輩達に任せてたんですけど、私は調子に乗りすぎたみたいです」


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