ただ風のように


「調子に乗りすぎた?」


「はい。私が先輩後輩、関係なく勝ち続けるのは先輩達にとって邪魔でしかなかったんです。だからゲームとかそういうときはいつもラフプレーの連続で体は結構、傷がついてました。試合のときは『あんたみたいに傷だらけの奴、出すわけにいかない』って先輩達に言われてずっとベンチに座ってました」


「酷いね」


「でも、まだそれは良い方で先輩達が引退したあと今度は同級生とかから手口の悪い嫌がらせ受けてて2年くらいから部活行かないようになったんです。行けなくなったって言った方が正しいですね」


「行けなくなった?」


「部活の時間になると過呼吸になったり動悸がしたり、体のどこかに不調がでるようになったんです。酷いときには立っていられないくらいどこかが痛むときもありました」


「そっか。それで試合に出たことがないんだ。最近は大丈夫なの?」


「原因不明の痛みは最近はないです。私、話しすぎましたね。逢ってから2週間でこんなこと話されたらひきますよね」


「別にひかないよ。それにそんなこと言ったら、俺の話だって軽蔑されて当たり前の話だよ」


海頼先輩は大丈夫と付け足して笑顔を見せてくれた。


< 76 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop