ただ風のように
「優しいんですね」
「いや、普通じゃない?」
「すごく優しいですよ」
「ありがとう」
それから私の家まではお互い、無言のまま歩いた。
「ここです。私の家」
「そっか。学校に近いんだね」
「電車とか苦手なので家から近いところがいいなって思って。……あの、アドレス教えてもらっていいですか?」
「うん、いいよ。何かあったらいつでも連絡して。何もなくても連絡していいよ」
私達は赤外線でお互いの連絡先を交換した。
「じゃあ、またね」
「はい。ありがとうございました!!」
「いいえ。お大事に」
海頼先輩はそう言って、元来た道を戻っていった。