ただ風のように
preserver
「ただいま」
そう声をかけても返事はない。誰も居ない訳ではない。私はやっぱりかというようにため息をついて自分の部屋に向かった。
部屋に入って制服から着替えて携帯を開くとメールが2件入っていた。
1件目は志穂先輩。
『大丈夫?穂乃香が謝ってたよ』
『大丈夫です。気にしないでと伝えて下さい』
返事をしてから2件目を見た。相手は亜美先輩だった。
『大丈夫?明日の練習、休みなよ。先生には言っておくから。来たら怒るからね』
『分かりました。では休ませてもらいます』
返信してから私はベッドに横になって携帯を見つめた。
先輩達もやっぱり私から離れていくのかな?
私は目を閉じて中学時代のことを思い出した。思い出すだけでもつらい毎日。誰にも言えず、誰も助けてはくれなかった。