ただ風のように
「夏々海。ご飯だって」
私はいつの間にか眠っていたらしく、ご飯の時間を伝えに来た一番上の兄に起こされた。
「翔(ショウ)くん?帰ってきてたの?」
翔くんはプロバスケチームのトレーナーで海外遠征に行っていた。
「うん。1時間前くらいにね。ほら空(ソラ)も父さんも母さんも待ってる。早く行こ?」
私は兄に促されて部屋を出た。ダイニングに着くと、お母さんが料理をテーブルに運びお父さんと2番目の兄が椅子に座っていた。
「お父さん空くんお帰りなさい」
私はそう言ってからお母さんを手伝った。今日の料理は麻婆豆腐とサラダ、ワカメのスープだ。
料理と食器を並べ終え、みんなが席についた。
「いただきます」
5人が声をそろえ、食べ始めた。