ただ風のように
なんとかベンチにたどり着き、倒れるように横になった。
息が苦しい。酸素が足りないよ。もっと空気、吸わなくちゃ。
しかし、吸えば吸うほど息は苦しくなっていった。
「夏々海!!」
海頼先輩が私を見つけた時には、私は過呼吸で地面に落ちかけていた。
「……せ、ん……ぱ……」
「落ち着け。ゆっくり息吸って……そうそう、ゆっくり吐いて。繰り返して……焦んなくていいから、そうだ。ゆっくり……」
海頼先輩はそう言いながら私の口にタオルを当てて背中をさすってくれた。
「……もう、大丈夫。ゆっくり起きて」
海頼先輩は私を抱き起こして私の血で染まった服を見て驚いた顔をした。
「これ……何があった?」