ただ風のように


海頼先輩は血で染まった袖をめくって私に聞いた。


「……」


「自分でやったの?」


私は静かに頷いた。それを見て海頼先輩は私の左腕にさっきのタオルを巻いて自分の上着を私に着させた。


「とりあえず、俺ん家に行こう。傷の手当てしないと。歩ける?」


私が頷くと、海頼先輩は私をゆっくり立ち上がらせた。


「すぐそばにバイクが停めてあるんだ」


私は海頼先輩に支えられながらバイクが停めてあるところまで歩いた。


「メットかぶって。ここに座って。走り出したら俺に掴まってて」


私が座って頷いたのを確認すると先輩もバイクにまたがり、エンジンをかけ、バイクを発進させた。


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