ただ風のように
10分程、走って先輩はバイクを停めた。
「降りていいよ。とりあえず中に入って」
私は海頼先輩に促されて玄関に入った。
「ただいま」
海頼先輩が声をかけるとパタパタと足音が聞こえて女の人が走ってきた。
「おかえり。その子は?」
「ただいま、母さん。青藍の後輩だよ」
「そう。上がってちょうだい。汚いところだけど」
「お邪魔します」
私はそう言ってペコッと頭を下げた。
「俺の部屋連れてくから断じて、余計なことをしないように」
「はいはい。分かりましたー」
海頼先輩のお母さんはそう行って来た方向に戻って行った。
「行こっか」