ただ風のように
「せんぱ……「悪い!!」
「え?」
「君の兄貴、納得させるためとはいえ交際してるなんて嘘ついてごめん」
「大丈夫です」
「なんとなく事情は聞いた。今日は泊まっていっていいから。明日、落ち着いたら詳しい事情聞かせて」
「迷惑かけてごめんなさい」
「謝らなくていいから。今日は俺のベッドで寝ていいからゆっくり体、休めなよ。俺はソファーで寝るから」
「そんなっ……悪いです。私がソファーで寝ます」
「いいから。俺、普段からソファーで寝てるし。君は病み上がりなうえに疲れてるんだから」
海頼先輩は自分の頭をここというように指差した。
「お兄ぃー。お母さんがアイスあるから彼女も連れて降りてこいだってー」
ドアの向こうから女の子の声がした。
「はいはい。行くから下降りてろ。ごめんな。家の奴ら、君のこと彼女だと思い込んでるらしくて」