ただ風のように
「大丈夫です。気にしてないですから」
「良かった。めんどくさい奴らだけど多分、良い奴らだと思うしそのうえ単純だから彼女のフリしててもらっていいかな?」
海頼先輩は申し訳なさそうに言った。
「分かりました」
「ありがと。とりあえずアイス食べに行こ?俺の家族大集合してるけど」
「はい」
困った顔をして話す海頼先輩が面白くて私は笑顔で返事をした。
「ようやく笑った。心配したよ。コロコロ表情変わる君が笑わないでずっと無表情だったから」
海頼先輩は部屋から出ながらそう言った。
「私、普段そんなに百面相してますか?」
「してるよ。忙しい人だなぁって思うけど君らしくていいんじゃない?」
「私らしくてですか」
「うん。君らしくて」