バレンタイン・プロミス


「なんだぁ。朝日は?」

「?なんで?」

朝日はクラスの中心的人物でよくモテる。

正義感が強くて明るい性格で人気者だがあまり関わったことがない。

なのにクラス中の女子からチョコレートをもらうであろう朝日にやる義理はない。

「なんでって。べーつにー」

「?…そっ。じゃ私今日早く帰んなきゃいけないから」

私は荷物を持つと席を立った。

「じゃーね」と友達の珠喜が手を振る。

扉の前でそれに手を振り返す。

偶然、目に入った教室の隅で騒いでいた朝日と目があった。

朝日は目を丸めている。私もそうだったかもしれない。

いきなり目が合うと結構驚くものだ。


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