晴れのち飴

しんと静まる部室。


その沈黙をやぶったのは
星那だった。

「ごめん。
ちょっとトイレ。」
そう言って部室を出ていく。



また部室は静かになった。


すると音雲ちゃんが
口を開いた。

「空美ちゃんは
好きな人とかいるの?」


唐突な質問に
びっくりするものの
あたしの頭の中には
ひとりの姿が
くっきりと浮かんだ。

「うん。いるよ。」


「もしかして、水城くん?」


(!!)


「やっぱりそうなんだ。
空美ちゃんって
わかりやすいね。」


今日一日で
何度わかりやすいと
言われただろうか。

嘘のひとつも
つけない自分を
少し情けなく思った。



「なんで、わかるの?」
と聞くと
彼女は
クスクス笑いながら
「だってさっき、
フェンスから
水城くんをずっと
ガン見してたから。」
と言った。

そんなとこを
見られてるなんて...


あたしは
うなだれ、顔を下に向けた。





だから
気づかなかったんだ。


彼女の表情が
変わったことに。


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