晴れのち飴

「告っちゃえば
いいじゃん。」

太陽は
あっさりと言う。

「俺だって誰かに
とられる前に告りたいよ。
でも今言ったら
出会って
そんなに経ってないから
かるいとか思われないかな?」


真面目な顔で言う俺を
太陽はケラケラと笑った。


「嵐も変わったな。」



―変わった。―



確かに俺は
五ヶ月前と比べると
明らかに変わった。


五ヶ月前
俺はまだ中学生で
結構好き勝手していた。


売られた喧嘩は
全て買い、
常に女が三人はいた。


当たり前のように
タバコを吸って
当たり前のように
朝方まで街を
ほっつき歩いていた。


俺ははじめから
不良だったわけじゃない。

中学一年まで
ごく普通の
男子生徒だった。


ところが
中学二年のある日
万引きという
やってもない罪を
なすりつけられた。


俺は必死で
違うと反抗したが
誰も信じては
くれなかった。

本当の親さえも
息子の言葉を
聞くことなはく、
店側に
頭を下げるばかりだった。



それからというもの
俺は誰も信じることが
出来なくなった。



だが、そんな俺にも
信用できる奴が
二人だけいた。


それは親友の大地(ダイチ)と
彼女の玲奈(レイナ)だった。


この二人が俺の唯一の
心の支えだった―





ところがある日
俺はたまたま見てしまった。



二人がキスしている所を。



二人は俺に隠れながら
付き合っていた。



そんなことも知らず
呑気に笑う俺を
二人は
馬鹿にでも
していたのだろうか。



そう思うと
自分を情けなく思うと共に
二人への怒りが
込み上げてきた。



二人に裏切られ
心の支えをなくした俺は
荒れに荒れまくった。



あの頃の俺は
そうでもしないと
自分の居場所を
見つけられなくなってたんだ。





そんな荒れてた俺を
ここまで戻してくれたのは
ほかでもない太陽だった。


嵐side end


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