晴れのち飴

太陽side

「かるいとか思われないかな?」


嵐が発した言葉に
俺はついつい笑ってしまった。


数ヶ月前まで
いろんな女に手をだし
まさに"かるい"男だった奴が
かるいと見られることを
恐れている。

それがむしょうに
面白かったのだ。



俺が初めて嵐を見たとき
嵐はまるで、
死んでいるかのような
そんな目をしていた。


その姿は
どこかあいつと
被る部分があった。



だからだろうか
俺は嵐のことが
放っておけなくて、
うざがられようとも
無視られようとも
いつも嵐の傍にいた。



ある日のことだ。

校舎裏に
嵐の姿を見つけた俺は
いつものように
近づいていった。


ところがその日は
いつもと違った。


俺はあることに気づき
ふと足を止めた。


しゃがんでいる
嵐の後ろ姿が
小さく震えている。



そのとき思った。


こいつはひとりで
何かを背負っているんだと。


また、俺はそれを一緒に
背負えないのかと。



一度止めた足を
再び動かし
嵐の隣に座った。


嵐は慌てて
目を制服の袖で
こすった。



「なぁ。」


いつにない低いトーンで
俺は話しはじめた。


「俺と一緒に変わんねぇ?」

何も言わない嵐をよそに
俺は話し続ける。

「このままだったら
なんも変わんねぇままだよ。
お前の背負うものも
なくなんないまま...
「うっせーよ!」

嵐が俺の話を遮って叫んだ。


「お前に俺の
何がわかるんだよ!」


「わかんねーよ!」

俺もまけじと叫ぶ。


「でもわかろうと
努力するんだよ!
お前が抱える何かを
わかろうと...
「ふざけんなよ!
お前みたいに呑気な奴に
俺の気持ちなんて
わかんねーよ!」



「ならお前には
わかんのかよ。
俺の気持ち。
...自分のせいで
大事な人を失った気持ちが!!」



一瞬空気が固まった。

そんな気がした。


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