晴れのち飴

俺には
ふたつ年下の
弟がいた。

名前は流星(リュウセイ)。


そいつはいつも
お兄ちゃんお兄ちゃんって
俺を慕ってくれていた。



そんなあいつが
変わったのは
俺が中学に入ってからだった。


流星はあまり
自分の部屋から
出なくなった。


学校にも
行かない日が
増えた。


俺はそんな流星に
どんな言葉を
かけたらいいのか
わからなかった。


とうとう流星は
部屋から出なくなり
引きこもってしまった。


そんなあいつに
両親は幻滅し、
流星を松稀家の恥とまで
言うようになった。



そうやって
誰からも
手を差し延べて
もらえなかった流星は
自ら死ぬことを選んだ。


寒い寒い冬の夜。
流星は、
近所の9階建てのビルから
身を投じた。



流星は一枚の手紙を
遺していた。

そこにはたった一行、


―みんな僕を裏切った―


と書かれていた。




俺はそれを見て
後悔の渦にさいなまれた。


何故俺は流星に手を
差し延べれなかったのだろう

何故流星に
みんな俺を裏切ったと
思わせたのだろう

―と。


流星が変わった理由は
あいつがいなくなった今、
誰にもわからない。


俺はそれを
聞いてやれて
いたかもしれない。


しかし、
聞かなかったのは
ほかでもない俺だ。


あんなに
慕ってくれていたのに...




それからというもの
俺は最期に見た
あいつの
絶望に満ちたような目が
忘れられずにいた。


そんなある日
俺は、あいつと
同じような目をした
嵐に会った。


嵐と流星を重ね合わせ、
嵐を放っておけなかった。



太陽side end

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