晴れのち飴
やっと終業式が終わり
待ちに待った
夏休みがやってきた。
大量に出された課題は
あえて見ないことにしよう。
夏休みが始まり、
毎日部活の日々を
送っている。
今日も午前から部活だ。
あたしと星那は
部室でジャージに着替えると
選手たちの
ドリンクを用意する。
音雲ちゃんは
少し離れたところで
この前、洗って
干しておいたゼッケンを
取り込んでいた。
しばらくすると
選手たちがやってくる。
嵐の姿を見つけて
にやけるあたし。
すると嵐もこちらに気づき
近づいてくる。
「おはよ。」
「おはよっ。」
......
意識してしまって
会話が続かない。
そんなあたしたちを見て
星那は
やれやれといった表情だ。
「今日も頑張ってね!」
精一杯考えて
口から出てきたのは
なんともありきたりな
言葉だった。
それでも嵐は
優しく笑って、
うん。と言ってくれた。
そして嵐は
んじゃ。と言って
部室に入っていった。
嵐が見えなくなると
ふ~っと体中の力が抜ける。
「あんたもうちょっと
上手く話せないの?」
星那が呆れたように言う。
「だって~。」
嵐を目の前にすると
頭が真っ白になる。
しまいには
嵐の茶色い瞳に
吸い込まれるのではないか
とさえ思えてくる。
そう言うと、星那に
「ベタ惚れだね。」
と言われてしまった。
最近、自分で
自覚したばかりだが
他人に言われると
より実感する。
「まぁ。
少しずつ頑張りな。
応援するから。」
「うん!ありがとう!」
そう言って
あたしたちは笑いあった。
このとき
あたしたちは
気づいていなかったんだ。
あたしたちを睨む視線に。