ちいさなたからもの
・・・・・・・・・



・・・・・・



・・・



こちょこちょこちょ。



「えーいっ!何なんだ、お前はっ!?」



桜に、首筋をくすぐられていた。



「ひとりじゃ、つまんない・・・」



「知るかっ」



「つまんない・・・」



「・・・・・・・」



眠気は吹き飛んでしまった。



「・・・しょうがない。遊んでやる」



「・・・ほんと?」



「ああ。でも俺、お前が何好きかなんて忘れたぞ」



「・・・・・・」



俺の冷たい一言に、桜が泣きそうになる。



でも、それを耐えているように見えた。



「どうしたんだ?」



疑問に思ったので、俺は尋ねる。



「・・・ないちゃダメって、パパがいってたから」



「ふうん」



俺の記憶の中の桜は、いつも泣いていた。



母さんが、いつもそれをあやして・・・



それを思い出すと、また辛くなる。



父さん、結構厳しいんだな、とだけ思って、考えるのを止めた。


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