ちいさなたからもの
「・・・失礼ですが、あなたは?」



「僕かい?・・・そうか、覚えてないのか」



少し残念そうな顔をする。



「僕は、大島豊と言う」



大島・・・母さんの旧姓だ。



「きみのお母さんの、弟だ。・・・きみの、叔父と言うことになる」



「会ったこと、あるんですか?」



「きみが小さいころに、何度かね。まあ、覚えてないのも無理ないと思うよ」



「そうですか・・・」



「・・・さて」



叔父さんが、タバコに火を点ける。



そしてふぅ~っと煙を吐いた。



「事情はだいたい聞いているよ。きみが姉さんの死後、妹と関わらないようになったと」



「・・・はい」



いきなりそんな話を持ち出して、何が言いたいのだろうか。この人は。



「・・・辛いか?妹の顔を見るのは」



「・・・はい」



・・・それは今でも変わらない。



だから、そう頷いた。



「そうか・・・」


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