ハーレムプリンセス

…――――――――
…――――
…――――――――



『…グスンッ…グスンッ…』



姫の泣き声が聞こえる。でも姿が見えない。



「姫?どこにいるの?何で泣いてるの?」



辺りを見回して探しても真っ暗闇しか無い。



『…グスンッ…グスンッ…』



でも、姫の泣き声はやっぱり聞こえる。



姫どこだ?どこにいるんだ?



たくさん歩くと一筋の光が射す場所があった。



「姫!!」



見つけた!!



暗闇の中には体育座り膝を抱えながらで涙を流す姫の姿が。



「姫大丈夫だよ!だかり泣き止んで?」

『…グスンッ…グスンッ…』



それでも泣き止まない。



「姫?だいじ『…グスンッ…あなたはだぁれ?』

『何で真っ暗なの?…グスンッ…』

「姫!?僕だよ?舜だよ!!」


俺は泣き叫ぶように姫に訴えかける。



『あなた…舜君って言うの?カッコイイね…』



姫の涙が少し止まった。



『行かなきゃ…行かなきゃ…』

「…え…?」



突然歩き出した姫。



それと同時に俺も慌てて追い掛ける。



「待って姫!待って!」

『行かなきゃ…行かなきゃ』



姫の耳に俺の声は届いていない。



『行かなきゃ…サヨナラ』



手を伸ばし、捕まえられそうなところで突然姫の姿が消えた。



「ひ、姫…?」



真っ暗闇に残された俺。



姫の姿は無い。



「姫…姫ぇぇえ!!!」



…――――――――
…――――
…――――――――





< 10 / 121 >

この作品をシェア

pagetop