ハーレムプリンセス
気づいたら、黒尽くめの奴らはいなくてアタシ一人だけ放置されていた。
…で、今の状況に至る。
『てか、何で誰もいないのよ!!』
さっきから、この部屋には人っ子一人いない。
前に比べて息苦しさは無くなったけど、相変わらず薄暗くて、気味悪い。
薄暗い部屋に、一人縛られた女………。
…ハッ!!…この状況は!!!
少女マンガや恋愛小説で読み、夢にまでも見た王子様が助けにくるというまさに憧れのパティーンではないか!!!!
夢のようなシチュエーションに一人興奮で悶々とする。
さあ!!アタシの王子様!
カモーン!!!
と、一人でテンション上がってるアタシの前に現れたのは…――――
「柏木。お前相変わらずうるせぇな…」
「あんたの独り言外に丸聞こえなんだけど…耳が腐る!!」
なんて、毒を吐くのは、ツインヘリクツーの詩さんと葵さんだった。
「あんた何言ってんの?王子様?そんなのいるわけ無いだろ」
『………やっぱり?』
「馬鹿?当たり前」
やっぱり王子様はマンガや小説の中だけの人物であって、現実にはいないんだね…。
分かってるつもりだけど、頭の中がメルヘンなあたしはやっぱり少しショックだった。