ハーレムプリンセス
王子様がいないことに軽くショックを受け、テンションが下がっているアタシ。
こういうの何て言うのかなー…カルチャーショック??……いや…メルヘンショックだな。
部屋の中は誰一人しゃべら、さっきからずっと静か。
だから、アタシの存在は空気みたいに薄くなりつつある。
なぜなら詩さんは、神妙な顔付きで書類らしきものと睨めっこしてて、葵さんは、葵さんで一人でダーツやったりケータイいじくったりしてるから。
アタシはというと、今だ縛られたままで、二人の動き観察するしか、やることが無かった。
いやー、あのー、アタシこれ放置?
アタシだけなんか扱いひどくない!?
てか、いつまでアタシはこの格好のままなのかな?
てか、ゲームはとっくに終わってるよね!?
え、アタシ勝ったの?負けたの?
『あのー……いつまでこのままですか……?』
そろそろ解放してもらって、皆のところに帰りたいなー?…なんて。
「あぁ……そういえばすっかり、忘れてた」
悪びれた様子もなく葵さんは言う。
え?何この人。
すんごい鬼畜野郎なんだけど。
さも、当たり前みたいにあっさりと言うから、スルーしそうになったけど、忘れたは無いよね。忘れたは。